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改正物流効率化法

  • 執筆者の写真: G support
    G support
  • 7月5日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月2日

1.物流効率化法とは

わが国では、物流業界が抱える課題に対応するため2005年に物流総合効率化法(正式名称は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」)を施行しました。その背景には、消費者ニーズの多様化、物流に伴う環境負荷、深刻な人手不足といった問題がありました。

その後、2008年と2020年、2024年に改正され現在に至っています。


2.2024年改正の背景

(1)深刻化する人手不足

日本では少子高齢化が進行しており、特に労働集約的な物流業界ではドライバー不足が深刻な問題になっています。国土交通省の調査によると、トラック運転手の平均年齢は年々上昇し、新規参入者も減少しています。


道路貨物運送業の運転従事者数の推移
トラックドライバーの平均年齢の推移

(2)2024年問題(働き方改革関連)

運送業界では、従来から、労働時間の長時間化が問題視されてきました。

トラックドライバーの年間労働時間

「働き方改革関連法」により、2024年4月からトラック運転手にも時間外労働の上限規制(年960時間)が適用され、輸送能力の減少が懸念されています。2025年7月現在、中小運送事業者の中にはこの上限規制が守られていないケースも散見されており、一層の物流効率化が求められています。


(3)EC(電子商取引)市場の拡大

BtoC市場では、Amazonや楽天などのEC需要拡大により、小口・多頻度配送が急増しています。またBtoB市場ではBtoC市場に比べて圧倒的に大きな市場規模においてEC化が進展しています。これらを背景に、従来型の物流モデルでは非効率となるケースが増え、より柔軟で効率的な物流体制の構築が求められるようになっています。

EC市場規模の推移

国内BtoB EC市場規模

(4)CO₂排出削減など環境問題への対応

トラック輸送はCO₂排出量が多いため、カーボンニュートラル実現の観点からも物流の集約化・効率化が重要です。共同配送やモーダルシフト(鉄道・船舶利用)などが検討されています。



3.2024年物流効率化法改正の概要

2024年5月に改正された改正物流効率化法は、2025年4月1日より施行開始されています。主な改正点は次のとおりです。


(1)すべての荷主(発荷主、着荷主)、連鎖化事業者(フランチャイズチェーン本部)、物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対する努力義務

①積載効率の向上等

・複数の荷主の貨物の積合せ、共同配送、帰り荷の確保等のための実態に即したリードタイムの確保や荷主間の連携

・繁閑差の平準化や納品日の集約等を通じた発送量・納入量の適正化

・配車システムの導入等を通じた配車・運行計画の最適化 等

②荷待ち時間の短縮

・トラック予約受付システムの導入や混雑時間を回避した日時指定等による貨物の出荷・納品日時の分散 等

※ トラック予約受付システムについては、単にシステムを導入するだけでなく、現場の実態を踏まえ実際に荷待ち時間の短縮につながるような効果的な活用を行う。

③ 荷役等時間の短縮

・ パレット等の輸送用器具の導入による荷役等の効率化

・ 商品を識別するタグの導入や検品・返品水準の合理化等による検品の効率化

・ バース等の荷捌き場の適正な確保による荷役作業のための環境整備

・ フォークリフトや荷役作業員の適切な配置等によるトラックドライバーの負担軽減

と積卸し作業の効率化 等


(2)一定規模以上の事業者(特定事業者)の義務

荷主(発荷主、着荷主)、連鎖化事業者(フランチャイズチェーン本部)、物流事業者(トラック、鉄道、    港湾運送、航空運送、倉庫)のうち、一定規模以上のもの(特定事業者)に対し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付けることとなりました。

①特定事業者の基準

特定事業者の基準は次のとおり定められました。

・特定荷主・特定連鎖化事業者

取扱貨物の重量 9万トン以上(上位3,200社程度)

・特定倉庫業者

貨物の保管料 70万トン以上(上位70社程度)

・特定貨物自動車運送事業者等

保有車両台数 150台以上(上位790社程度)


②中期経営計画の策定・提出

積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮などについて実施する措置、具体的な内容や目標、実施時期などを記載した中期経営計画の策定、提出が求められています。

中期経営計画は毎年度提出することを基本としつつ、計画内容に変更がない限りは5年に1度提出することとされています。


③物流統括管理者の選任

特定事業者のうち荷主には、物流統括管理者の選任を義務付けています。

物流統括管理者は、ロジスティクスを司るいわゆるCLO(Chief Logistics Officer)としての経営管理の視点や役割も期待されているため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある役員等の経営幹部から選任し、 以下の業務を統括管理することが求められています。

・ 中長期計画、定期報告等の作成

・ トラックドライバーの負荷軽減とトラックへの過度な集中を是正するための事業運営 方針の作成や事業管理体制の整備

・ トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成・実施・評価

・ 社内の関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築や社内研修の実施 等

 
 
 

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